雇用保険の失業給付基本手当を減額されないような仕事収入

会社を退職した場合に失業給付と言う基本手当が支給されます。よく失業手当と言われているものです。
この手当の額は決まっていて、仕事で収入を得た場合には手当が減額されることもあります。
で、そんなことは雇用保険の説明会の時点で教わるし、ググるといくらでも出てきたんですが、
「じゃあ、どのくらいまでなら仕事をしてもOKなの?」
っていう最大値がイマイチよくわからなかったのでハローワークに行って質問してきました。
内職をするにしても内職以外の自分の時間を有効に使うために収入を得たいし、
まぁ、就職もせずにおもいっきり働いて損になってたらそれはそれで問題あるよねということで。
ということでメモをまとめておきます。



まず前提として、就職・就労をした場合には再就職手当や就業手当になってしまい基本手当が30%に減らされるというのが決まってるので、ここでは考えません。
ここで考えるのは内職をした場合の最大値です。

失業期間中に自己の労働による収入を得た場合の基本手当の減額

基本手当の減額には「失業期間中に自己の労働による収入を得た場合の基本手当の減額に係る控除額」というのが関わってきます。
簡潔に説明すると、「内職で得た1日の収入 + 基本手当 + 控除額」が「離職時の1日の賃金(または、上限を超えていた場合は賃金上限)の80% 」を超えた場合は、超えた分だけ基本手当が減額されます。



この控除額がいくらかというと、毎年変わっていて、厚生労働省のサイトで「基本手当の減額」で検索すると、調べられます。
今年2010年8月からは1,295円になりました。



また、その今年の控除額の資料には、さきほどの減額の式が図入りで詳しく説明されています。

控除額を考慮に入れて具体的に内職収入の計算をする

上の図の通り、具体例を考えながら計算をしてみます。

基本手当+「収入」 ≦ 賃金日額の80%

なら基本手当が全額貰えるということなので、「収入」を最大にするには上の式をイコールにすれば良いということです。
ここでいう「収入」とは以下のものです。

  • 収入:収入の1日分に相当する額 - 控除額(つまり1,295円)
  • 収入の1日分に相当する額:内職で得た日額

まず、基本手当と賃金日額がわからないと計算できないので調べます。
雇用保険受給資格者証に、

  • 賃金日額(14. 離職時賃金日額)
  • 基本手当日額(18. 基本手当日額)

の2つが書いてあるのでそれを確認します。



例えば、

  • 賃金日額:13,258
  • 基本手当日額:6,145

と書いてあったとします。
ここで、「雇用保険受給資格者のしおり」P.4の 「賃金日額上限額」を調べます。
29歳以下だった場合、

  • 賃金日額上限額:12,290

なので、減額の式で使われる「賃金日額」は13,258円でなく12,290円になります。



ということで、賃金日額の80%を計算すると

  • 賃金日額の80%:12,290 * 0.8 = 9,832

よって、

基本手当日額 + 収入 = 賃金日額の80%

を考えると、

基本手当日額 + (収入の1日分に相当する額 - 控除額) = 賃金日額の80%

なので、

6,145 + (収入の1日分に相当する額 - 1,295) = 9,832
収入の1日分に相当する額 = 9,832 - 6,145 + 1,295
             = 4,982

となります。



つまり、毎日内職をする場合、日に4,982円までを限度として仕事をし、残りの時間を再就職のためにがんばるというのが一番得ということになります。



極端な話、基本手当の支給が90日間だったとして、「毎日内職」をして、「最後の日に内職の収入を得る」場合があるならば、
4,982 * 90 = 448,380
が内職で得られる収入の最大値になります。
ただし、ホントに毎日やってたら「自営じゃないか?」と係の人に聞かれることがあるようです。
一応この範囲なら問題ないようなので内職の時は「内職だ」という説明をした方が良いです。
(係の人の判断だと「常識的に生計が立てられる額ならば自営」と判断するとのこと。
ただ、生計を立てられるかどうかは本人次第なのでそこは説明すれば大丈夫ですよと。)



と、ここまでがんばって調べましたが、いざハローワークに行って聞いたら一瞬で4,982円と答えが返ってきました。
どうやら係の人がパソコン入力で値を入れるだけで4,982円という値が出力されるようです。
ということで気になる人は「内職でいくらまで収入を得ても良いか?」と聞いてください。
(ただ、僕の場合は賃金日額を13,258で計算してて答えが違ったため「何で答えが違うの?」と聞いて1時間半くらい時間がかかりました。
係の人が式を覚えていなくて計算もできないという状態で。)


補足

最後の「毎日内職」と「最後の日に内職の収入を得る」について。



まず、内職は「原則として1日の労働時間が4時間未満のもの」なのだけど、しおりのP.17にあるとおり「契約期間が7日間以上の雇用契約等で、週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合」は就労であると見なされるので、毎日内職をするとした場合は週に20時間を超えない場合が内職になります。
つまり毎日やるとしたら1日2時間くらいです。
また、日雇いのように契約期間が7日間未満なら毎日4時間未満働いても内職だと係の人に教わりました。



「最後の日に内職の収入を得る」ことについてですが、大抵の場合は給料って後払いなので、最後の認定日の後に収入が入ることもあるかもしれません。
その場合は今までの話が全部チャラで、減額処理はされません。
「認定の時までに収入があった場合は、働いた日数分を計算する」
というものらしいです。



他にも「待期7日」や「3カ月の給付制限」の時の収入で減額処理されるかどうかがあって、
その辺に関係する図を係の人が書いてくれました。

(見にくいですが、右の×の時が減額処理なしです)

  • アとイ:3カ月の給付制限中に内職をした場合は、どこで収入があっても減額処理ナシ
  • ウ:待機7日の間に内職をした場合、その収入が認定対象期間中にあると減額処理アリ
  • エ:待機7日の間に内職をした場合、その収入が3カ月の給付制限中にあると減額処理ナシ
  • ウ':認定対象期間中に内職をした場合、その収入が認定対象期間外にあると減額処理ナシ(これが上で説明したケース)

まぁいろいろややこしいですよね。ハローワークでたくさん聞くのが一番いいです。

キーワード

今回のことを調べるにあたり、用語がぶれていると問題なので用語について調べたり、聞いたりしました。
最後にまとめとして置いておきます。

  • 基本手当日額
    • 雇用保険受給資格者証にある「18. 基本手当日額」のこと。
  • 賃金日額
    • 雇用保険受給資格者証にある「14. 離職時賃金日額」のこと
      • ただし、雇用保険受給資格者のしおりP.4の「賃金日額上限額」を超えていた場合は上限額がそれ
  • 就職・就労(雇用保険受給資格者のしおりP.13)
    • 原則として1日の労働時間が4時間以上のもの
  • 内職・手伝い(雇用保険受給資格者のしおりP.13)
    • 原則として1日の労働時間が4時間未満のもの
      • ただし、P.17にあるとおり「契約期間が7日間以上の雇用契約等で、週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合」は就労であると見なされるので、毎日内職をするとした場合は週に20時間を超えない場合が内職。また、日雇いのように契約期間が7日間未満なら毎日4時間未満働いても内職。

疑問に思ったこと

前述の用語も含めてわからないことがあったので疑問をまとめて質問しました。
重複する内容もありますが、これもまとめておきます。

  • 内職を認定期間中に行っていた場合、その収入が次の認定期間に入るとすると控除額の計算はどうなるか?つまり、前の認定期間の受給が終わった後に収入が入った場合、働いた日数は前の認定期間になるので、どのように計算すればよいか?
    • 認定日のタイミングで前の認定期間の支払いは決定する。次の認定日の時に収入がわかるので、前にさかのぼって減額処理の計算をする(なので、最後の認定日の後に収入があっても問題がない。)

疑問に思ったこと2

ついでに訓練学校についても聞いたのでそれもまとめ。

  • 「所定給付日数分」を過ぎた場合に、訓練受講をしていた場合、訓練が終了するまで基本手当がもらえるが、その時も失業認定申告書を書くか?(雇用保険受給資格者のしおりP.45)
    • 訓練学校に行っている間は「受講証明」というものが貰えるので、そこに内職の内容を添付する
  • また、訓練が終了する日が受給期間満了日を過ぎた場合、「基本手当」「受講手当」「通所手当」の全てがもらえなくなるか?
    • これは訓練学校のコースが続く間は貰える